スポーツ観戦でチケットが必要となるのは,有料試合であること,座席指定がされていることなどいくつかの条件があります.ですから,試合を観るために必ずチケットが必要とはいえません.ここでは,多くの人が見たいと思う試合において,見られる人を決定するためにチケットが存在すると考え,試合観戦の権利イコールチケット入手としています.
文部科学省はスポーツを振興するため様々な施策をたてていますが,「見るスポーツの振興」もそのうちのひとつです.これは,プロスポーツを発展させ競技力を向上させることと,プロスポーツという産業を発展させエリートスポーツ選手の職業の確立を図る目的があります.また,高度なパフォーマンスを見ることによってスポーツ参加を促すことも目指されています.
一方,人気の高い競技は人々を楽しませる力があることから,出来る限り広く,多くの人々に見る機会を用意するべきともされています.それは,ある一定の競技大会のテレビ中継は,地上波の無料放送で行うべきという形に表れています.例えば,イングランドではサッカー代表チーム,イギリスで人気の高いクリケット代表チームの試合や,オリンピック等の中継は,地上波の無料放送で行われるように定められています.
このことから,チケットも出来る限り多くの人々の手元に届けられ,見る機会を広く提供すべきだと言えるでしょう.しかし,テレビ受信と異なり,スタジアムには物理的な限界,収容人数というものがあります.そのため,チケットを入手できる人は限られた選ばれた人にならざるを得ません.そこで考えられるのは,このチケット入手のチャンスが如何に多くの人々に開かれているのかということになります.
つまり,「見るスポーツ」を振興し,スポーツを見る権利を住民に確保するという考え方から,チケッティングは重要な意味を持つということができます.
それでは,ワールドカップのチケッティングがこれまでどのように行われ,どのような問題が起こったかをみていきましょう.ただし,ここでは資料による以外は,1982年,1990年大会の観戦経験による事実認識に頼って記述しています.
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